毎年、お声掛け戴いてる江東区立第三大島小学校さんへ「落語体験教室」の講師として昨日、今日の二日間、通って参りました。

昨日は5年生、今日は6年生の皆さんに落語を二席ずつ聞いて戴きました。
例年ですと1学年の全クラスに向けて行うのですが、このコロナ禍の中という事もあり、1校時毎に1クラスでの実施です。
昨日は「時そば」と「長短」を、今日は「壺算」と「親子酒」をそれぞれ口演。
落語の後は質問コーナーという事で、生徒の皆さんからの質問に答えました。
昨日は3月11日という事もあり、私事ですが入門の動機について語らせて戴きました。

10年前の東日本大震災のあったあの日。私は渋谷におりました。振付を担当していたバンドのライヴ当日で、リハーサルを終え、遅めの昼食を食べようと表に出てしばらくして大きな揺れを感じました。それは今までに感じた事の無い巨大な揺れで、身の危険を感じて代々木公園に避難しました。
揺れが収まったのでライヴハウスに戻ると、店内のスクリーンにプロジェクターでニュース映像が映し出されていたのを見て、にわかに信じ難い光景に驚き、恐怖しました。
あの日を境に、様々な情報を見聞きしたり、余震に怯えながら「明日死んじゃうかも知れないな」と毎日考えながら生きていました。
やがて、「今までダンスという海外の文化に携わって生きてきたけど、これからの人生は日本の伝統文化を継承して生きていきたい」と思うようになり、小学生の頃から好きだった落語の道を志す事に。

「禍福は糾える縄の如し」という言葉があります。いい事も悪い事も交互にやって来る、という様な意味です。
よく「いい時期」とか「悪い時期」と言う事がありますが、実際には「いい時期」にも多少の厭な事は起こっているし、逆に「悪い時期」にも多少のいい出来事がある筈です。
気分が落ち込んでいる時は厭な事が目につきます。あべこべに、気分がいい時は楽しい事が記憶に残りやすい。
よく「笑う門には福来る」と言いますが、日常の中の小さな幸せを見つけていける、そういう目を持って過ごしていって欲しい、という内容の事を6年生の子たちに伝えました。
今回の学校寄席は特に、僕の心に強く残る時間となりました。
この機会を与えて下さった第三大島小学校さんには感謝しかありません。

二日間、本当にありがとうございました。